or, nor の用法
等位接続詞 or と nor は、文と文・語と語を対等な関係でつなぐ言葉です。
このレッスンでは、
「A または B」・
「すなわち〜」・
「さもないと〜」 といった or の3つの顔と、
「A も B も〜ない」 を表す nor の使い方を、図と例文でゆっくり丁寧に確認していきます。
💡 小学生にも分かるレベルのやさしい説明で進めますが、内容は大人の英会話・資格試験にもそのまま使える本格派。
「今日は or と nor だけ完璧にしよう」と決めて学ぶと、脳が覚えやすくなり、学習がグッと楽になりますよ 😊
🎯 このレッスンでできるようになること
-
A or Bで「A か B」の選択を自然に言える -
, or 〜で「すなわち/言い換えれば」と、やさしく説明を添えられる -
, or (else) 〜で「さもないと〜だよ」と警告・アドバイスを言える -
neither A nor Bで「A も B も〜ない」をスラスラ言える
🔥 モチベーションアップのヒント:
「全部覚えなきゃ…」ではなく、
「今日は or の1パターンだけ」「明日は nor だけ」
のように、
1日1テーマに絞ると、脳が安心して集中できると言われています(心理学でも実証済み)。
小さな達成感を積み重ねて、「接続詞マスター」への階段を一段ずつ登っていきましょう ✨
▮ 目次
-
1. or の用法(基本)
「A or B」で2つ以上の選択肢をつなぐ等位接続詞。品詞どうしを対等に結ぶのがポイント。
-
1-1. 「または・あるいは」を表す or
A または B(どちらか/どれか)を選ぶときの or。日常会話で最もよく使う基本形。
-
1-2. 「すなわち・言い換えれば」を表す or
コンマ + or で、前の内容をかんたんな言葉で言い換えたり、説明を添えるパターン。
-
1-3. 「さもないと〜」を表す or / or else
「〜しなさい、さもないと…」と、注意やアドバイスをするときの or / or else。
-
2. nor の用法(基本)
「A でないし、B でもない」「A も B も〜ない」と、否定を2つ並べて言うときの接続詞。
-
2-1. 否定語 + A + nor + B:A でないし、B でもない
not / never / no などと組み合わせて使う nor。文頭に来るときの語順(倒置)も確認。
-
2-2. neither A nor B:A も B も〜ない
「どちらも〜ない」を一気に言える便利表現。主語が単数扱いになる点もチェック。
-
🧾 総まとめ:or / nor の使い分けチェック
よく出るパターンを1枚の表とミニクイズで総復習。「迷うポイント」だけに絞って整理します。
1. or の使い分け(まずは全体像)
接続詞 or は、
「A または B」 だけでなく、
文脈によっては
「すなわち〜(言い換え)」 や
「さもないと〜(結果・警告)」
も表せる、実はとても多機能な言葉です。
とくに 等位接続詞
(同じレベルの語や文どうしをつなぐ接続詞)としての役割をおさえると、
長い英文もスッと読みやすくなります。
このセクション 1 では、あとで学ぶ
1-1・1-2・1-3 の内容を
「地図をながめるように」ざっくり確認します。
むずかしい文法用語が出てきたら、
(かんたんな日本語の言いかえ)
をいっしょに添えていくので、
小学生でもゆっくり読めば分かるレベルを目指しています。
ここから先は、 「or には 3 つの顔がある」 と思いながら読んでみてください。 「選ぶ or」「言い換える or」「さもないと or」という3兄弟を イメージできると、実戦での迷いが一気に減ります 🌟
等位接続詞 or 全体像のガイド Lesson 104 / Section 1
✨ これから何を学ぶ? or の「3つの顔」をざっくりチェック
1 章では、or の代表的な使い方を 「3つのパターン」 に分けて学びます。 どこから読んでもだいじょうぶですが、 自分が「ここが気になる!」と思うところから進めると、 頭にスッと入りやすくなります。
-
1-1:選択の or …
A or Bで「A または B」「A か B」と、 選ぶ場面の or を整理します。 -
1-2:言い換えの or …
, or 〜で「すなわち〜」「言い換えると〜」と やさしく説明をつける使い方を見ていきます。 -
1-3:結果・警告の or …
, or (else) 〜で 「〜しなさい、さもないと…」という注意やアドバイスの表現をおさえます。
心理学
(人の心のはたらきを研究する学問)
では、
「完璧に分かってから始める」より「だいたい分かった状態で動きながら覚える」
方が記憶に残りやすく、挫折しにくいと言われます。
まずは 1-1 ~ 1-3 の地図をながめるつもりで、気軽に読み進めてみましょう 😊
人は「ぜんぶ理解してから始めよう」と思うほど、スタートが重くなってしまいます。 「なんとなく全体像が見えたから、とりあえず進んでみよう」 くらいがちょうど良いペースです。
ここまで読めたあなたは、もう準備はバッチリです。 この勢いのまま、気になる 1-1 ~ 1-3 から一緒に進んでいきましょう 🚀
1-1. 「または・あるいは」を表す or(選択の or)
ここでは、等位接続詞 or のいちばん基本の顔、
「A または B」「A か B」を表す選択の or
を見ていきます。
等位接続詞
(どういせつぞくし:同じレベルの語や文どうしをつなぐ接続詞)
という言葉が出てきますが、
「A と B をえこひいきせず、同じ立場でつなぐ言葉」というイメージで大丈夫です。
「or は “どちらかを選ぶ” スイッチ」と考えると、とてもイメージしやすくなります。
名詞どうし(例:tea or coffee)や、文どうしをつなぐときに使われ、
選択・分かれ道 を表すのがポイントです。
もし専門用語が少しむずかしく感じても、 例や図を通して「雰囲気」をつかむだけでOK です。 細かいルールは、このあとゆっくり整理していきましょう。
ここまで読めたあなたは、もう準備はバッチリです 😊 この 1-1 で「選択の or」をしっかりつかめば、1-2・1-3 の理解もグッとラクになります。
選択の or 等位接続詞 Lesson 104 / Section 1-1
💡 or は「分かれ道」と「スイッチ」を作る接続詞
「選択の or」は、 A と B のあいだに“分かれ道”を作るイメージ で考えると分かりやすくなります。 「どちらか」「いくつかの中から1つ」を選ぶときに、とてもよく使われる表現です。
A or B は、
「A か B」
を表すスイッチのような働きをします。
たとえば、日本語の「紅茶 か コーヒー」にあたる部分が、
英語では tea or coffee になります。
or は
「同じ種類(グループ)のもの」
をつなぐときに使います。
- 名詞 + 名詞:例)
tea or coffee - 形容詞 + 形容詞:例)
hot or cold - 節 + 節:例)
you study hard or you failなど
「節 (主語と動詞がそろった、文として成り立つかたまり) をつなぐこともできるよ」と覚えておきましょう。
or でつながれた A と B は、
どちらかが「おまけ」ではなく
どちらも主役
です。
これが 等位接続詞 (同じレベル同士をつなぐ接続詞) と呼ばれる理由です。 「えこひいきしない接続詞」とイメージしておくと覚えやすくなります。
人は、最初から細かいルールをすべて覚えようとすると、かえって頭がパンクしやすいと言われています。 まずは「or は分かれ道」「同じ種類をつなぐ」「どちらも主役」 の 3 つだけをイメージできれば十分です。
あとから例文や表でくり返し見ることで、自然とルールが定着していきますよ 🌱
📊 選択の or の基本パターンを整理しよう
「選択の or」には、よく使われる型があります。 ここでは 「まずはざっくり眺める」 ことが目的なので、 「ふーん、こういう形があるんだな」くらいの気持ちで読んでみてください。
| 🔠 パターン | 📝 意味・ニュアンス | 📌 よくある場面 | 🎯 チェックポイント |
|---|---|---|---|
🔀
A or B
基本形
|
A または B を表す、もっとも基本的な形です。 「A か B(あるいは両方)」というニュアンスになることもあります。 |
|
同じ種類どうしをつなぐ
名詞+名詞・節+節など 「同じグループのもの」どうしをつなぐのが基本です。 |
🎯
either A or B
どちらか一方
|
「A か B のどちらか一方だけ」 というニュアンスを、少しハッキリさせたいときに使う形です。 |
|
「2つの選択肢しかない」イメージ を強めたいときに便利です。
ふつうの |
📋
A, B, or C
3つ以上の選択肢
|
A / B / C の中から選ぶ
という形です。 3つ以上なら、 最後の 1 つの前だけ or
を置き、他はコンマで区切ります。
|
|
書くときは
「A, B, or C」
のように、最後の前だけ
日本語の「AかBかCか」のイメージで、
英語ではカンマと |
ここにあるのは、あくまで「型の一覧」です。 このあと例文カードで、実際の会話や英文の中でどんなふうに使われるかを、一緒に確認していきましょう。
例文で覚える「または・あるいは」を表す or
You can call me tonight or send me a message.
(今夜は電話をくれてもいいし、メッセージを送ってくれてもかまいません。)
語注: call me = 私に電話をかける、send me a message = 私にメッセージを送る。
型: You can A or B. で「Aしてもいいし、Bしてもいい」です。
使い方: 友人どうしや家族との会話など、カジュアルな場面でよく使う言い方です。
Do you prefer staying home or going out on weekends?
(週末は家で過ごすほうが好きですか、それとも出かけるほうが好きですか。)
語注: prefer = より好む、weekends = 週末(ふつう土日)。
型: prefer A or B で「AとBのどちらを好むか」をたずねています。
ポイント: staying / going のように、同じ形(動詞 + ing)どうしを or でつなぐのが自然です。
I am not sure whether he will come or not.
(彼が来るのか来ないのか、よく分かりません。)
語注: be not sure = はっきり分からない、whether A or not = Aかどうか。
型: be not sure whether S will V or not で「SがVするかどうか分からない」を表します。
ポイント: whether は「〜かどうか」という意味の接続詞(文と文をつなぐ単語)です。会話では if を使うことも多いです。
The meeting will be held on Monday or Tuesday.
(会議は月曜日か火曜日に開かれる予定です。)
語注: meeting = 会議、be held = 開かれる(受動態の表現)。
型: The meeting will be held on A or B. で「会議はAかBに開かれる」です。
ポイント: ビジネスメールでもよく使う形で、日付や場所など「候補が2つある」ときに便利です。
You can either join us now or arrive a little later.
(今から一緒に来てもいいし、少しあとから来ても大丈夫です。)
語注: either A or B = AかBのどちらか一方、join us = 私たちに合流する、arrive = 到着する。
型: You can either V1 or V2. で「V1するかV2するか、どちらか一方ができる」です。
ポイント: ふつうの A or B よりも、「二つのうち一つだけだよ」という感じが少し強くなります。
For lunch, you can choose salad, soup, or pasta.
(昼食には、サラダ・スープ・パスタから選べます。)
語注: choose = 選ぶ、salad = サラダ、pasta = パスタ。
型: A, B, or C の形で「A・B・Cの中から選ぶ」ことを表します。
ポイント: 3つ以上なら、最後の1つの前だけ or にして、ほかはコンマで区切るのが基本です。
Should we invite Sales, Marketing, or HR to the workshop?
(ワークショップには営業部・マーケティング部・人事部のどこを招待すべきでしょうか。)
語注: invite = 招待する、HR = 人事部、workshop = 研修会・勉強会。
型: Should we invite A, B, or C? で「A・B・Cのどこを招待すべきか」をたずねています。
レジスター: ビジネス寄りの場面でよく使う聞き方ですが、口調はていねいで柔らかめです。
Choose your favorite color, blue or green.
(好きな色を選んでね、青か緑だよ。)
語注: favorite color = いちばん好きな色。
型: Choose ..., A or B. で「…を選んで、AかBだよ」という指示になります。
ポイント: 「命令文 + A or B」の形でも、ここではあくまで「二つのうちどちらかを選んで」という選択の意味です。
We are not watching TV or playing games tonight; we are studying for the test.
(今夜はテレビを見たりゲームをしたりはせずに、テスト勉強をしています。)
語注: be doing = 〜しているところだ(進行形)、study for the test = テスト勉強をする。
型: be not V-ing A or V-ing B で「AしたりBしたりはしていない」という否定を表しています。
ポイント: 日本語では「AもBも〜ない」と訳しますが、英語では or を使うことがよくあります(nor の形は別セクションで学びます)。
I have tried yoga or meditation when I feel stressed.
(ストレスを感じるときには、ヨガか瞑想を試してきました。)
語注: have tried = 試してきた(現在完了形)、meditation = 瞑想、stressed = ストレスを感じている。
型: I have tried A or B. で「AかBを試してきた」という経験を表します。
ポイント: 現在完了形
(今までに〜したことがある、という形)
と or を組み合わせると、「これまでAやBをいろいろ試してきた」というニュアンスになります。
Are we just friends, or could we be something more someday?
(私たちはただの友だちなのかな、それともいつかそれ以上の関係になれるのかな。)
語注: just friends = ただの友だち、something more = それ以上の特別な関係、someday = いつか。
型: Are we A, or could we be B? で「Aなのか、それともBなのか」を気持ちを込めてたずねています。
ポイント: 恋愛ドラマなどでもよく出てくる定番フレーズで、「友情」と「恋愛」の分かれ道を or で表しています。
The seats near the window are usually reserved for families or groups.
(窓際の席は、たいてい家族連れかグループ用に予約されています。)
語注: seats = 座席、near the window = 窓の近く、be reserved for = 〜のために予約されている。
型: be reserved for A or B で「AかBのために予約されている」を表します。
ポイント: レストランや電車など、現実の場面をイメージしながら読むと記憶に残りやすくなります。
You can choose the plan that is cheaper or the one that offers more support.
(料金が安いプランを選んでもいいし、サポートが手厚いプランを選んでもかまいません。)
語注: plan = プラン、cheaper = より安い、offer support = サポートを提供する。
型: the plan that is A or the one that is B の形で、「AなプランかBなプランか」を対比しています。
ポイント: that は関係代名詞
(前の名詞を説明するために文をつなぐことば)
で、「どんなプランか」をくわしく説明しています。
The project will not succeed if we keep delaying decisions or ignoring problems.
(意思決定を先のばしにしたり問題を無視し続けたりしていては、このプロジェクトは成功しません。)
語注: succeed = 成功する、delay decisions = 決定を先のばしにする、ignore problems = 問題を無視する。
型: If we keep V-ing A or V-ing B, the project will not succeed. の形で「AしたりBしたりし続けると成功しない」と言っています。
ポイント: ビジネスの反省会などでよく出てくる言い回しで、「よくない行動A・Bのどちらか(または両方)をするとダメだ」という意味合いになります。
🧩 よくあるつまずきポイントをまとめてチェック
「選択の or」を使うときに多いのが、
and と or の違い、
否定文の中の or、
either の置き場所
でのつまずきです。ここでいちど、落とし穴をサッと整理しておきましょう。
1. and と or の違い
A and B は「AもBも両方」というイメージ、 A or B は「AかBのどちらか(またはどちらか一方)」というイメージです。
- and = 足し算(どちらも手に入る)
- or = 選択(どちらか・どれかを選ぶ)
- 「and でいい? or かな?」と迷ったら、日本語で言ったときに「も」と「か」のどちらを使うかを考えてみましょう。
2. 否定文の中の or と nor
日本語では「AもBも〜ない」と訳すときでも、英語では
not A or B
のように or を使うことがよくあります。
一方で
neither A nor B
や
A cannot C, nor can B
のように nor を使う形もありますが、
これは 2章「nor の用法」 でくわしく学びます。
今は「否定文の中でも or はよく使われる」「nor はすこし堅めで特別な形がある」と知っておけば十分です。
3. either の位置とニュアンス
either A or B
は「AかBのどちらか一方だけ」というニュアンスを強める形です。
either はふつう、最初の要素 A の前に置きます。
eitherのあとには、必ずorがセットで来るイメージ。- 会話では、言いやすさのために
You can join us now or arrive later.のようにeitherを省くことも多いです。 - 「どちらか一つだけだよ」とハッキリさせたいときにだけ
eitherを足す、と考えるとスッキリします。
📝 ミニまとめ:1-1「選択の or」はここだけおさえよう
1-1 では、「または・あるいは」を表す or の基本イメージと、よく出る型を見てきました。 いちどに全部完璧にしようとする必要はありません。まずは次のポイントだけ、頭のスミに置いておけば十分です。
- A or B は「AかB」=選択のイメージ。and は「AもBも」=足し算、と対比して覚える。
-
A, B, or C
のように、3つ以上なら最後の1つの前だけ
or、ほかはコンマで区切る。 - either A or B は「どちらか一方だけ」を強調したいときの追加オプション。なくても通じることが多い。
-
否定文の中でも
or
はよく使われる。
norを使う特別な形は、2章であらためて整理すればOK。 - 同じ種類どうし(名詞+名詞・節+節など) をつなぐのが等位接続詞 (同じレベルのものをつなぐ接続詞) の基本ルール。
もし今は細かい用語がピンと来なくても、 「or = 分かれ道」「and = 足し算」 というイメージさえ持っていれば、会話・リスニング・読解のどれにも応用できます。
「まだあいまいだな…」と感じるのは、理解が深まっている証拠です。 そのモヤモヤを持ったまま、次の 1-2・1-3 に進んでみましょう。 進んだ分だけ、さっきの内容もじわっとつながってきます。
1-2. 「すなわち・言い換えれば」を表す or(言い換えの or)
このセクションでは、
, or ~
の形で使われる
or を学びます。ここでの or は「AかBか」をえらぶ
選択の or ではなく、
「すなわち」「つまり」「言い換えれば」
という意味を作る、説明用の or です。
たとえば、
astronomy のようなむずかしい単語のあとに
, or the science of stars
とつけて「星の科学なんだよ」と言い換えると、聞き手にとってぐっと分かりやすくなります。
こうした
「ラベル(名前)→ やさしい説明」の橋渡し
が、言い換えの or の大きな役割です。
文法的には「同格
(どうかく:同じものを別の言葉で説明すること)の or」
と呼ばれますが、
「むずかしい言い方 → かんたんな言い方にしてあげる or」
というイメージでとらえれば、小学生でも十分ついて来られます。
英語でも日本語でも、 「言い換えて説明できる人」=「伝えるのが上手な人」 です。 このセクションでは形式を暗記するより、 「相手に寄りそう or」 の感覚をつかむことを目標にしましょう。
言い換えの or 等位接続詞 Lesson 104 / Section 1-2💡 「むずかしい → やさしい」に変える、説明の or イメージ
言い換えの
or は、
むずかしいことばを、すぐあとでかんたんに説明し直すスイッチ
のような役割を持ちます。
コンマ
(,)
のあとに来ることで、「ここから説明だよ」「つまりこういう意味だよ」と読者に合図してくれます。
「専門用語 + , or + やさしい説明」
という形で、
読者に親切な通訳 をしてあげるのが、この or です。
例:astronomy, or the science of stars
astronomy(天文学)って何? → 「星の科学だよ」とその場で教えてあげるイメージです。
「大きなグループの言葉」を、
具体的な例 で言い換えるときにも or が使えます。
例:healthy snacks, or fruits and nuts
「ヘルシーなおやつ」→「たとえば果物やナッツ」と、頭にイメージが浮かぶようにしてあげています。
大きな数や見慣れない単位は、そのままだとイメージしにくいですよね。
そこで or を使って、
わかりやすい目安 に言い換えます。
例:three thousand yen, or about thirty dollars
円だけでなく、ドルの目安もそえると、外国の人にも伝わりやすくなります。
📊 言い換えの or の代表パターンを一覧でチェック
「言い換えの or」には、よく使われる型があります。
ここでは
「A, or B」
の形を中心に、あとから例文とセットで復習しやすいように整理しておきましょう。
今は「こんな型があるんだな」とざっくり眺めるだけで十分です。
| パターン | 意味・ニュアンス | よくある場面 | ミニ例(イメージ) |
|---|---|---|---|
⭐
A, or B
基本形
説明・定義
|
A を B で言い換え・説明する
パターンです。 B は、A と同じものを表していますが、 より分かりやすい言い方・具体的な説明 になっていることが多いです。 |
|
例:
astronomy(天文学)=the science of stars(星の科学)という、 「名前」+「中身の説明」 のセットになっています。 |
🔁
A, or rather B
言い直し
|
いったん A と言ってから、 「というよりBだね」と、やさしく言い直す ときに使うパターンです。 「Aはちょっと言い過ぎだったかも、もう少し正確にはB」というニュアンスになります。 |
|
例:
「good talk(よい話)」と言ったあとで、 「というより役に立つ議論だった」 と少しニュアンスを言い直しています。 |
🎯
A, or more precisely B
正確さアップ
|
A でだいたい合っているけれど、 「もっと正確に言うなら B」 と少し情報を足したいときに使います。 レポートやプレゼンで、数字や条件をくわしくするときによく使われます。 |
|
例:
「約100人」とざっくり言ってから、 「もっと正確に言うと98人」 と情報を細かくしています。 |
🛡️
A, or at least B
保険つきの言い換え
|
A と言い切るのは少し強すぎるかな、というときに、 「少なくとも B ではある」 と、すこし控えめな表現に言い換えるパターンです。 |
|
例:
「彼は自信がある、少なくともそう見える」というように、 言い切りすぎないやわらかい言い換え をしています。 |
これらのパターンはすべて、
「前半Aを、後半Bで言い換える」
という点では同じ仲間です。
あとの例文セクションでは、まず
基本形 A, or B
を中心に、「これなら自分も使えそう」と感じられる表現から慣れていきましょう。
🧩 用法ごとに整理してみよう:「説明の or」3つの顔
「言い換えの or」は、大きく分けると
専門用語の説明、
抽象的な言い方の具体化、
数字や単位の言い換え
の3つの使い方がよく登場します。1つずつイメージをつかんでいきましょう。
むずかしい単語を出したあとで、 「つまりね、〜ということだよ」 とその場で解説するときに , or ~ を使います。
-
A, or Bの形で、A(専門用語)をB(やさしい説明)で言い換える。 - B は「子どもにも伝わることば」で書くとイメージしやすいです。
-
同格
(どうかく:同じものを、別の言い方で説明)
の
orとも呼ばれます。
ミニ例(イメージ):
He studies neuroscience, or the science of the brain.
(彼は神経科学、つまり脳の科学を研究している。)
「健康的な食べ物」「小さな親切」など、
ふんわりした言い方(抽象)
だけだと、イメージしにくいことがあります。
そこで or を使って、
「たとえば〜」
と具体例をそえてあげます。
-
abstract idea, or concrete examplesのイメージで、「大きなくくり → 中身」を見せる。 - 「たとえば」「具体的には」という気持ちで B を書くのがコツです。
- 授業やプレゼンで、聞き手の理解を助けるときにとても有効です。
ミニ例(イメージ):
You should choose healthy snacks, or fruits and nuts, after school.
(放課後はヘルシーなおやつ、つまり果物やナッツを選ぶといいよ。)
大きな数字や見慣れない単位は、
そのままだとピンと来ない
ことが多いですよね。
そこで or を使って、
「だいたい〜くらい」
という目安に言い換えます。
-
three thousand yen, or about thirty dollarsのように、相手がなじみやすい単位で言い換える。 -
約・およそを表す
aboutやaroundと組み合わせるのが定番です。 - 旅行・ニュース・科学の話など、数字が多く出る文脈でよく使われます。
ミニ例(イメージ):
The city is ten kilometers away, or about six miles.
(その町は10キロ先、つまりおよそ6マイル先にあります。)
どの用法にも共通しているのは、 「A を B で言い換えて、相手にとって分かりやすくする」 という姿勢です。 ここまでイメージできていれば、あとは例文の中で , or ~ を見つけるたびに、「今の or はどのパターンかな?」と軽く意識してみるだけで、理解がどんどん深まっていきます。
例文で覚える「すなわち・言い換えれば」を表す or
He studies marine biology, or the science of life in the ocean.
(彼は海洋生物学、すなわち海の中の生き物の科学を研究している。)
語注: marine biology = 海洋生物学。science of life in the ocean = 海の生き物についての科学。
型: A, or B で A(専門用語)を B(やさしい説明)で言い換えています。
使い分け: 「または」の意味ではなく、「つまりこういうことだよ」という説明の or になっている点がポイントです。
She works as a UX researcher, or the person who studies how users feel when they use a product.
(彼女はUXリサーチャー、つまりユーザーが製品を使うときどう感じるかを調べる人として働いている。)
語注: UX = User Experience(ユーザー体験)。researcher = 研究者。
型: 職業名+, or ... で、「どんな仕事か」をひとことで説明しています。
レジスター: ビジネス英語寄りの内容ですが、言い方自体はやさしく、日常会話でもそのまま使えます。
Do you know what procrastination is, or the habit of putting things off again and again?
(プロクラスティネーションが何か知っていますか、つまり物事を何度も先のばしにするくせのことです。)
語注: procrastination = 先のばしにすること。habit = くせ。put things off = 物事をあと回しにする。
型: Do you know what A is, or B? で、「Aとは、つまりBのことだよ」と疑問文の形で説明しています。
ポイント: むずかしい単語を使ったあとに、そのまま放置せず or で説明を足すと、聞き手にとってとても親切です。
This is not a punishment, or a trick to control you; it is a way to keep everyone safe.
(これは罰ではありません。つまりあなたを操るためのだましではなく、みんなの安全を守るための方法です。)
語注: punishment = 罰。trick = だまし。control you = あなたをコントロールする。
型: not A, or B; ... と続けて、「Aではない、つまりBではない」と否定の内容を言い換えています。
ポイント: 日本語では「〜なんかじゃなくて…」というニュアンスに近く、or 以下で「どういう意味ではないか」を具体的にしています。
Remember this number, 1.618, or the golden ratio, when you design the logo.
(ロゴをデザインするときは、この数字1.618、つまり黄金比を覚えておきなさい。)
語注: golden ratio = 黄金比(きれいに見えるとされる比率)。
型: 数字+, or 名称 で、「その数字が何を意味するか」を名前で言い換えています。
バリエーション: Remember this rule, or this simple principle, when you write your report.
The device is often called a wearable, or a small computer you can wear on your body.
(その機器はよくウェアラブルと呼ばれます。つまり体に身につけて使う小さなコンピューターです。)
語注: device = 機器。wearable = 身につけて使う電子機器。
型: is called A, or B で「Aと呼ばれる、つまりBだ」という受動文になっています。
ポイント: 「専門用語+かんたんな言い換え」をセットで覚えると、会話の中でも説明しやすくなります。
The festival is also known as Tanabata, or the Star Festival in Japan.
(その祭りは七夕とも呼ばれます。すなわち日本の星祭りのことです。)
語注: be known as = 〜として知られている。Star Festival = 星祭り。
型: is known as A, or B で、「Aとして知られる、つまりBだ」と別名を説明しています。
コロケーション: be also known as ~(〜としても知られる)は、新聞やガイドブックでよく使われる表現です。
I have made a decision, or rather a clear promise to myself, to study English every day.
(私は決心しました。というより、自分に対して「毎日英語を勉強する」というはっきりした約束をしたのです。)
語注: have made a decision = 決心した(現在完了)。or rather = というよりむしろ。
型: A, or rather B で、Aと言ったあと「というよりB」と言い直す形です。
使い分け: 少し言い過ぎたかな、と感じたときに or rather でやわらかく修正できます。会話でもよく使われます。
We are building a prototype, or early test version, of the app right now.
(私たちは今、そのアプリの試作品、つまり初期のテスト版を作っているところです。)
語注: prototype = 試作品。early test version = 早い段階のテスト版。
型: 進行形 are building に , or ... を足して、「prototypeとは何か」を説明しています。
ポイント: ビジネスシーンでは、カタカナ語をそのまま使うより、英語でも一度説明をそえてから話すと誤解が減ります。
The workshop lasted half a day, or more precisely about four hours.
(そのワークショップは半日続きました。もっと正確に言うと、およそ4時間でした。)
語注: last = 続く。workshop = 研修会・講習会。more precisely = より正確に言うと。
型: A, or more precisely B で、ざっくりしたAを「より正確なB」に言い換えています。
レジスター: レポートやビジネス説明など、数字をきっちり伝えたい場面でよく使われます。
Is this really a failure, or at least something we are not using well yet?
(これは本当に失敗でしょうか。それとも、少なくともまだうまく生かせていない「何か」だと言えるのではないでしょうか。)
語注: failure = 失敗。at least = 少なくとも。not using well yet = まだうまく使えていない。
型: Is this A, or at least B? で、「Aとまでは言えないかもしれないが、少なくともBでは?」と聞いています。
ポイント: or at least は、「言い過ぎかもしれないので少し弱めて言い換える」ときに使う便利な表現です。
We are friends, or at least that is what I tell myself when my heart starts to race around you.
(私たちは友だちです。少なくとも、あなたの前で心臓がドキドキし始めるとき、私は自分にそう言い聞かせています。)
語注: tell myself = 自分に言い聞かせる。heart starts to race = 胸がドキドキし始める。
型: We are A, or at least B. で、「Aだと思いたい、少なくともBだと自分に言い聞かせている」という恋愛らしい迷いを表しています。
ポイント: 恋愛表現では、or at least を使うことで、本当の気持ちをぼかしつつちらっと見せることができます。
The meeting is not a formality, or a useless routine; it is a chance to fix real problems.
(その会議は形式だけのものではありません。つまり意味のないルーティンではなく、本当の問題を解決するチャンスです。)
語注: formality = 形式だけのこと。useless routine = 役に立たない決まりきった作業。chance = 機会。
型: not A, or B; ... で、「Aではない、つまりBでもない」と否定の内容を言い換えたあと、it is ... で本当の意味を示しています。
ポイント: 否定文の中の or でも、「別の言い方で重ねて否定する」という使い方があることを意識しておくと読みやすくなります。
Do you remember Erin, or the colleague who helped you on your first day?
(エリンのことを覚えていますか。つまり、あなたの初出勤の日に手伝ってくれた同僚のことです。)
語注: colleague = 同僚。helped you on your first day = あなたの初日を手伝った。
型: 名前+, or the colleague who ... の形で、「その人が誰か」を関係節
(who 以下の説明部分)
で言い換えています。
ポイント: 人名だけでは分かりにくいときに、or で「どの人か」を説明してあげると、とても親切な英語になります。
🔍 つまずきポイントを3つの角度で比較しよう
「言い換えの or」でよく迷うのは、
選択の or との違い、
that is / in other words との関係、
コンマの有無での意味の差
の3つです。ここでサッと整理して、読解のときに迷わないようにしておきましょう。
1. 選択の or と言い換えの or
まずは一番よく出てくる、 「AかBか」をえらぶ or と 「AをBで説明する or」 の違いです。
-
A or B?
=「AかBか、どっちにする?」という
選択。
Do you want tea or coffee? -
A, or B
=「Aだよ、つまりBだよ」という
説明・言い換え。
He studies astronomy, or the science of stars. - 小学生にもやさしく言うなら、 「or = 分かれ道」か「or = つまりね」か を見分けるイメージです。
迷ったら、 右側の B が「別の候補」なのか「説明・例」なのか を日本語で考えてみましょう。
2. or と that is / in other words
「つまり」「言い換えれば」を表す表現は or だけではありません。
that is や in other words も、同じグループの仲間です。
-
A, or B:短くて会話でも書き言葉でもよく使われる、いちばん気軽な形。 - that is / that is to say: ややフォーマルで、説明文・レポートなどでよく使われます。
- in other words: 「別の言い方をするとね」と、受験英語でもおなじみの表現です。
読解のときは 「or ≒ that is ≒ in other words」 と近い役割だと知っておくだけで、 前後のつながりがぐっと分かりやすくなります。
3. コンマの有無で役割チェンジ
同じ or でも、
コンマがあるかどうか で役割が変わって見えることがあります。
-
A or B
:ふつうの「AかBか」の選択。
Choose red or blue. -
A, or B
:「Aだよ、つまりBだよ」という説明・言い換え。
It is insomnia, or trouble sleeping at night. - 小学生向けに言うと、 コンマ = 「ちょっと息を止めて、説明が入る合図」 と考えるとイメージしやすいです。
長文を読むときは、 コンマ+or の右側を「さっきの内容の言い換え」として読む クセをつけると、情報が整理しやすくなります。
📝 ミニまとめ:1-2「すなわち・言い換えれば」を表す or
ここでは、 , or ~ が「または」ではなく 「すなわち・言い換えれば」 の意味を作る使い方を見てきました。細かい言い回しはいろいろありますが、 まずは次のポイントだけ押さえておけば十分です。
- A, or B は、 A を B で説明・言い換える形。B は「やさしい言葉」「具体例」「目安」になっていることが多い。
- 専門用語 → やさしい説明、 抽象的な言い方 → 具体例、 数字・単位 → 分かりやすい目安 の3つが、よく出るパターン。
- that is / in other words なども、ほぼ同じ働きをする仲間。読解では 「ここから説明や言い換えが来るサイン」 としてまとめて意識してOK。
- コンマのない A or B は「選択の or」になりやすく、 コンマつきの A, or B は「説明の or」になりやすい、という感覚を持っておく。
- 日本語でも、むずかしい話をするときに 「つまりね」「言い換えるとね」と言うのと同じで、 英語の or も「相手に寄りそう説明」を作るためのやさしい道具 だと考えよう。
よくある誤解は、
「or は全部“または”で訳せばいい」と思ってしまうこと
です。文章の流れを読みながら、
「この or は分かれ道かな?それとも“つまり”かな?」と
一瞬だけ立ち止まって考えるクセ
をつけると、一気に読解がラクになります。
or で説明していたのか」と、
今学んだ内容が少しずつつながって見えてきます。
1-3. 「さもないと」を表す or / or else(警告の or)
このセクションでは、
or / or else
が
「さもないと〜」「そうしないと〜」
を表すパターンを学びます。
Do your homework, or you will be in trouble. のように、
前半で「してほしいこと」を言い、後半で「しなかったときのよくない結果」をつなげる、
警告(危ないよ、と教えること)の or
が主役です。
文法的には「結果の節
(result clause:その行動の結果どうなるかを書く文)
を導く or」と見ることができますが、
ここでは
「やらないとこうなるよ、とやさしく注意する or」
というイメージでとらえましょう。
実はこの or のうしろには、
心の中で
If you don't do it, ... という
「隠れた if 文(もし〜しなかったら〜)」
がひそんでいます。
つまり、
Hurry up, or you will be late. は
If you don't hurry up, you will be late.
と同じ内容を、もっと短く、強く言っている形です。
また、 or else を使うと、同じ「さもないと」でも 少し本気度の高い警告 になります。 ただし、こわい「おどし」にするのではなく、 安全・健康・ルールを守るためのやさしい警告 として使うのが大事です。
ここまで 1-1(選択の or)・1-2(言い換えの or)と学んできて、
いよいよ 3つめの「警告の or」にたどり着きました。
ここまで読み進められたあなたは、もう or の3つの顔を見分ける準備はバッチリ
です。
あとはこのセクションで、
「しないとこうなるよ」という英語の言い方に慣れていきましょう。
⚠️ コアイメージ:「やってね、さもないと〜」をつなぐ or / or else
「警告の or」は、
「してほしい行動」
と
「しないと起きるよくない結果」
をつなぐスイッチです。
日本語で言えば
「〜しなさい。そうしないと〜になるよ。」にあたります。
小学生向けに一言で言うと、
「やらないと〇〇になっちゃうよ、と教えてくれる or」
です。
まずは 「こうしてね」 を命令文で言います。 命令文 (imperative:主語を省いて、動詞から始める文) は、ふつうは友だちや家族に使うカジュアルな形です。
イメージ例:
Wear a helmet(ヘルメットをかぶってね)
Don't run here(ここでは走らないで)
「してね」「しないでね」という指示の土台が、 次の「さもないと〜」につながっていきます。
次に、 or や or else を置いて、 「そうしないと〜だよ」 という結果につなげます。
-
or: ふつうの警告。「〜しないと〜するよ。」 -
or else: すこし強め。「本当に困ることになるよ。」というニュアンス。 - どちらも、 「または」ではなく「そうしないと」の or です。
日本語なら「さもないと」「そうでなければ」に近いイメージで読むとスッと入ってきます。
最後に、 「その行動をしなかったらどうなるか」 を書きます。 ここはよく 「結果の節(結果を表す文)」 と呼ばれます。
イメージ例:
..., or you will be late.
(さもないと遅刻するよ)
..., or you might get hurt.
(そうしないとケガするかもしれない)
心の中では
If you don't do A, B will happen.
と考えると、
「条件文(if 文)」とのつながりが見えてきます。
or」は、
条件文(if 文)をギュッと短くして、リズムよく言うための形
だと考えると分かりやすくなります。
ここまでのイメージがつかめていれば、
あとは例文を読むたびに
「これは選択の or かな? 警告の or かな?」と
小さくチェックしていくだけで、自然と読み分ける力がついていきます。
📊 命令文+or / or else の代表パターンを一覧でチェック
「さもないと」を表す or / or else には、よく使われる
型(パターン)
があります。
ここでは「命令文+結果」という形を中心に、
あとから例文とセットで復習しやすいように整理しておきましょう。
※スマホ・タブレットでは、この表は
指で左右にスワイプ(横スクロール)して読んでください。
| パターン | 意味・ニュアンス | よくある場面 | ミニ例(イメージ) |
|---|---|---|---|
⚙️
Do ..., or S will V.
基本形
肯定結果
|
「〜しなさい。さもないとSはVするよ。」
という最も基本的な警告の型です。will は
「そうなるだろう」という未来の可能性
を表しており、ほぼ確実に起きそうな結果を言うイメージです。
|
|
例:
(一生懸命勉強しなさい。さもないと試験に落ちるよ。) 「勉強しないとどうなるか」をはっきり伝える警告です。 |
⛔
Don't V, or S will V.
禁止+警告
|
「〜してはいけない。さもないとSはVするよ。」
という、禁止と警告をセットで伝える型です。 危険を避けたい場面でよく使われます。 |
|
例:
(ここでは走ってはいけません。さもないと転びますよ。) 「禁止 → そうしない理由」の流れが、or の後ろで説明されています。 |
📌
You must / should V, or S will / may V.
義務・アドバイス
|
「〜しなければならない/〜したほうがいい。そうしないと〜になる。」
という形で、
must / should と組み合わせて
ルールやおすすめ
を表すことができます。
|
|
例:
(作業を保存しなければいけません。さもないとデータを失うかもしれません。) 「must」で強い必要性を示し、「may」で「起こりうるよくない結果」を伝えています。 |
🚨
Do ..., or else S will / might V.
or より強め
|
「〜しなさい。さもないと本当に困ったことになるよ。」
と、
or より
警告のニュアンスが一段強く
なります。
ただし、日常会話ではきつく聞こえすぎることもあるので、場面を選ぶ必要があります。
|
|
例:
(シートベルトをしめなさい。さもないと事故にあったとき、ひどいけがをするかもしれません。) 「本当に危ないよ」という気持ちを強く伝えています。 |
🔄
Do ..., or S will V.If you don't do ..., S will V.Do ..., otherwise S will V.
書き換え関係
|
同じ内容でも、次の3つの言い方ができます。
|
|
例: どれも「今出発しないと電車に乗り遅れるよ」という同じ内容を、少しずつ違う形で表しています。 |
この表は、
「警告の or が出てきたとき、どの型に当てはまるか」をチェックするための地図
として使ってください。
すべてを一気に暗記する必要はありません。
読んでいて気になった文を、
「あ、これは 'Do ..., or S will V.' 型だな」
という具合に少しずつラベルづけしていくだけで、自然と使い方が身についていきます。
🧩 用法ごとに整理しよう:「アドバイス」「ルール」「安全」の or / or else
「さもないと」を表す or / or else は、
使われる場面によって
アドバイス系、
ルール・手続き系、
安全・危険回避系
の3つに大きく分けられます。
それぞれの「よくある言い方」を知っておくと、実際の英文を読んだときに意味がとりやすくなります。
相手の健康や心の状態を気づかう、
やさしいアドバイス
としての or です。
「〜したほうがいいよ。そうしないと〜になっちゃうよ。」というイメージで使われます。
-
Take a break, or you will burn out.
(休憩しなさい。さもないと燃え尽きてしまうよ。) -
Go to bed early, or you will be sleepy tomorrow.
(早く寝なさい。さもないと明日眠くなるよ。) - 小学生向けには 「お母さん・先生系のやさしい注意」 と考えると分かりやすいです。
日本語でも「〜しないと〇〇になるよ」と言う場面を思い出しながら読むと、
英語の or もスムーズにイメージできます。
学校・会社・社会の
ルールや手順
を説明するときの or です。
「守らないとどうなるか」をセットで伝えることで、
ルールの大切さが分かりやすくなります。
-
Wear your ID card, or you can't enter the building.
(IDカードをつけなさい。さもないと建物に入れません。) -
Submit the form today, or your application will be delayed.
(今日中に申請書を提出しなさい。そうしないと申し込みが遅れます。) - 「締め切り」「チェックイン」「申請」など、 手続き系の英語と相性が良い 使い方です。
ビジネス英語では、 「ルール+or+結果」 のセットを意識するだけで、文書の読みやすさがぐっと上がります。
事故やけがを防ぐための、
安全を守ることば
としての or / or else です。
ここでは「こわがらせる」のではなく、
「本当に危ないから気をつけてね」という気持ちを込めて使われます。
-
Don't touch the wires, or you might get an electric shock.
(電線にさわってはいけません。さもないと感電するかもしれません。) -
Stay with the group, or else you could get lost.
(みんなと一緒にいなさい。そうしないと迷子になるかもしれません。) -
or elseは、状況によっては少し強く聞こえることもあるので、 安全・防災など本当に大事な場面で使う とイメージしておくと安心です。
「注意書き」「標識」「先生の声かけ」など、 生活のいろいろな場面で見かける英語なので、 読めるだけでも役立つ場面が多い使い方です。
例文で確認:「さもないと」を表す or / or else
Finish your report now, or you will have to stay late at the office.
(今すぐレポートを終わらせなさい。さもないと会社に遅くまで残らないといけなくなります。)
語注: report = 報告書。stay late = 遅くまで残る・遅くまでいる。
型: 命令文, or S will V で「〜しなさい。さもないとSはVする」と警告する形です。
ポイント: or の後ろで主語 you から言いなおしている点に注意。日本語の「さもないと〜」にあたります。
Don't skip breakfast, or you will feel sick during the morning meeting.
(朝ごはんを抜いてはいけません。さもないと午前の会議で気分が悪くなります。)
語注: skip = とばす・抜く。feel sick = 気分が悪い・気持ち悪くなる。
型: Don't V, or S will V で「〜するな。さもないと〜になる」と「禁止+結果」をまとめて表します。
よくある誤り: *Don't skip breakfast, and you will feel sick. と and にすると、「すると気分が悪くなる」という逆の意味になるので注意。
You should back up your phone regularly, or you may lose all your photos.
(スマートフォンを定期的にバックアップしたほうがいいですよ。さもないと写真を全部失うかもしれません。)
語注: back up = バックアップを取る。regularly = 定期的に。lose = 失う。
型: should V, or S may V で「〜したほうがいい。さもないと〜かもしれない」と優しめの警告を表します。
使い分け: must にすると義務感が強くなり、should は「おすすめ・アドバイス」のニュアンスになります。
Wear a mask on crowded trains, or you might catch a cold.
(混んだ電車ではマスクをしなさい。さもないと風邪をひくかもしれません。)
語注: crowded = 混んだ。catch a cold = 風邪をひく。
型: 命令文, or S might V で「〜しなさい。そうしないと〜かもしれない」と危険をやわらかく伝えています。
レジスター: 家庭や日常でよく使うカジュアルな注意の言い方です。
Drive carefully on this road, or someone might be hurt.
(この道では注意して運転しなさい。さもないと誰かがけがをするかもしれません。)
語注: carefully = 注意して。be hurt = けがをする(受け身の形ですが、「けがした状態になる」という意味)。
型: 結果の部分が someone might be hurt と受動態になっていて、「誰かが(外からの力で)傷つけられる」イメージです。
ポイント: 主語を「you」ではなく「someone」にすることで、「自分だけでなく周りの人も危ない」というニュアンスを出しています。
Head home now, or you will be waiting in traffic for hours.
(今すぐ家に向かいなさい。さもないと何時間も渋滞の中で待つことになります。)
語注: head home = 家に向かう。traffic = 交通渋滞。for hours = 何時間も。
型: will be waiting は未来の進行形で、「そのときずっと待っている状態になるだろう」というイメージです。
ポイント: 「ただ遅くなる」ではなく、「渋滞の中で待ち続けるイヤな未来」を具体的に描いて警告しています。
Do you want to finish your work now, or will you be working all weekend?
(今仕事を終わらせたいですか。それとも週末ずっと仕事をすることになりますか。)
語注: working all weekend = 週末ずっと働いている状態。
型: 全体は疑問文ですが、実質的には「今やらないと週末つぶれるよ」という警告になっています。
ポイント: 相手にえらばせる形で「さもないと〜」を伝える、ソフトな言い方です。
Are you going to join the meeting now, or will you read the notes later and be confused?
(今ミーティングに参加しますか。それともあとで議事録だけ読んで、よく分からなくなってしまいますか。)
語注: join the meeting = 会議に参加する。notes = メモ・議事録。confused = 混乱した、よく分からない。
型: えらばせる疑問文ですが、「今参加しないとあとで困るよ」という「さもないと」ニュアンスを含んでいます。
使い分け: 直接命令したくないとき、こうした疑問形でやんわりと行動をうながすことがよくあります。
Do you really want to ignore this warning, or will you fix the problem before it gets serious?
(本当にこの警告を無視したいですか。それとも問題が深刻になる前に直しますか。)
語注: ignore = 無視する。warning = 警告。serious = 深刻な。
型: 「無視するか、今直すか」という二択になっていますが、実質は「今直さないと大変なことになるよ」というメッセージです。
ポイント: 相手の考えを尊重しつつ、「さもないと〜」を伝えるときに便利な言い方です。
Be honest with me, or this relationship will slowly fall apart.
(私には正直でいてください。さもないとこの関係は少しずつ壊れてしまいます。)
語注: be honest with = 正直に話す。relationship = 人間関係・恋愛関係。fall apart = ばらばらになる、壊れる。
型: 恋愛や人間関係でも Be ..., or ... will ... で「〜して。さもないと関係が〜になる」と気持ちを伝えることができます。
ポイント: 強すぎる命令にならないよう、前後に Please ややさしい表現を足すと、よりていねいになります。
Stay near the guide, or else you could get lost in the crowd.
(ガイドのそばにいなさい。さもないと人ごみの中で迷子になるかもしれません。)
語注: guide = ガイド、案内係。crowd = 人ごみ。get lost = 道に迷う、迷子になる。
型: ..., or else S could V で「〜しなさい。さもないとSはVするかもしれない」とやや強めの警告になります。
使い分け: or else は or よりも本気度が高く聞こえることがあるので、安全や命に関わる場面で使うとよいです。
Do not leave your laptop here, or it might be stolen.
(ここにノートパソコンを置きっぱなしにしてはいけません。さもないと盗まれるかもしれません。)
語注: leave A here = A をここに置いたままにする。be stolen = 盗まれる(受動)。
型: 危険な結果を示すとき、結果部分を受動態 it might be stolen にすると、「盗まれた状態になる」という被害のイメージが強く出ます。
よくある誤り: *it might steal とは言えません。「盗む」は人や泥棒が主語になるので、被害者である「パソコン」を主語にするときは受動態が必要です。
Follow the safety rules, or else the event will be cancelled at the last minute.
(安全ルールに従いなさい。さもないとイベントは直前に中止されてしまいます。)
語注: follow = 従う。safety rules = 安全ルール。be cancelled = 中止される。at the last minute = 直前になって。
型: ..., or else the event will be cancelled のように、イベントや会議などが「中止される」結果を受動態で表すのはとてもよくあるパターンです。
ポイント: 「自分が中止する」のではなく、「ルールを守らないと中止になってしまう」というニュアンスが出ています。
Upload the file today, otherwise your request will be processed late.
(今日中にファイルをアップロードしなさい。そうしないとあなたの依頼は遅れて処理されます。)
語注: upload = アップロードする。request = 依頼。be processed = 処理される。
型: ..., otherwise S will V で「〜しなさい。そうしないとSはVする」という形になります。otherwise は「そうでなければ」という意味です。
使い分け: or とほぼ同じ意味ですが、少し書き言葉・説明文寄りの印象になります。
Save your draft often; otherwise you will be rewriting everything from memory.
(下書きはこまめに保存しなさい。そうしないと全部記憶だけを頼りに書き直すことになります。)
語注: draft = 下書き。rewrite = 書き直す。from memory = 記憶だけを頼りに。
型: will be rewriting は未来の進行形で、「そのときずっと書き直しているはめになる」というニュアンスです。
ポイント: or と同じく otherwise も「さもないと」の一種ですが、「書き言葉での説明」によく使われます。
If you don't lock the door, it will be left open all night.
(もしドアに鍵をかけなければ、一晩中開けっぱなしになってしまいます。)
語注: lock the door = ドアに鍵をかける。be left open = 開けたままにされる。
型: If you don't ..., S will ... は ..., or S will ... とほぼ同じ内容で、「〜しないとSは〜する」という条件文です。
ポイント: 「警告の or」は、心の中でこの If you don't ... が省略された形だと考えると理解しやすくなります。
🧩
つまずきポイント比較:and / or / if / otherwise
「〜しなさい、さもないと〜」は or だけでなく、 if や otherwise とも書きかえできます。 一方で and を使うと「さもないと」ではなく「そうすると〜」の意味になるので、ここが大きなつまずきポイントです。
| 表現 | 基本の型 | 意味・イメージ | ミニ例と注意ポイント |
|---|---|---|---|
| and |
Do ...,and
S will V.
|
「〜しなさい。そうすればSはVする。」 結果は プラスのイメージ が多く、「ごほうび」「いい結果」が来ることが多いです。 |
例:
⚠ 注意:
「さもないと」のつもりで
|
| or |
Do ...,or
S will / may V.
|
「〜しなさい。さもないとSはVしてしまう。」 条件は 暗に「もし〜しなければ」 を含み、結果は よくないこと・困ること を述べるのが基本です。 |
例:
💡
|
| if |
If
you don't Do ...,S will / may V.
|
「もし〜しなければ、SはVする。」 条件部分 if のかたちをはっきり出した言い方です。
「or 〜」に隠れていた
if の意味
を、前に引き出しているイメージ。
|
例:
✅
|
| otherwise |
Do ...,otherwise
S will / may V.
|
「〜しなさい。そうでなければSはVする。」 書き言葉や説明文でよく使われる、「さもないと」の少しフォーマルな言い方です。 |
例:
💡
|
✅
ミニまとめ:警告の or / or else を使いこなすために
- Do ..., or S will V. は「〜しなさい。さもないとSはVする」という 警告の基本パターン。
-
Don't V, or S will V.
のように、
Don'tを使うと 「禁止+さもないと〜」 を一気に表現できる。 -
If you don't ...
+
S will Vや、 otherwise を使うと、同じ内容を 条件文・説明文の形で言いかえる ことができる。 - and は「そうすると〜」の プラスのつながり が中心で、「さもないと」の意味にはならない点が最大のつまずきポイント。
「警告の or / or else」は、
中身としては always「もし〜しないなら...」という条件文
になっています。
頭の中で
If you don't ...
を補いながら読むと、長文の中でも迷子になりにくくなります。
ここまで読めたあなたは、もう準備はバッチリです。
「さもないと〜」を表す
or / or else の顔つきが見えてきたら、
次は同じ「〜でないし、〜でもない」を作る
nor
の世界に進んでみましょう。
否定どうしをつなぐ という新しいパターンが分かると、英語の論理展開がさらにクリアになります。
完璧に覚えてから進む必要はありません。 「だいたい分かった」状態で次のセクションに進みながら、何度か戻って見直す ほうが、むしろ記憶に定着しやすくなります。
2. nor の用法(基本)
nor は、「A でないし、B でもない」「A も B も〜ない」と
否定を 2 つ横にならべてつなぐ 等位接続詞です(等位接続詞=同じレベルの語・句・節同士をつなぐ接続詞)。
例えば、
not A nor B や
neither A nor B のような形で、
「〜も〜も〜ない」というスッキリした言い方ができます。
ここではまず、
nor がどんな場面で活躍するのか、
「ざっくりイメージ」をつかむことを目標にしましょう。
途中で 倒置(語順がふつうと逆になる形) などの文法用語も出てきますが、 そのつど (小学生にも分かる短い日本語の言いかえ) をそえていきます。 「専門用語が出たらその場で意味を確認する」つもりで、気楽に読み進めてください。
等位接続詞 nor 否定を並べる表現の概観 Lesson 104 / Section 2🖼️ nor のコアイメージ:2 本の「×」を 1 本の線でつなぐ感じ
イメージとしては、
A にも「×」、B にも「×」をつけて、それを 1 本の線(nor)でつなぐ
感じです。
「A は違うし、B も違うよ」と、2 つのダメ出しをまとめて言うための「橋」が
nor だと考えると分かりやすくなります。
🌗 「A でもないし B でもない」をスマートに言う nor の世界
日本語では
「A ではないし、B でもないです」や「A も B も〜しません」のように、
「2 つとも×」をセットで言いたい 場面がよくあります。
英語では、そんなときに
nor が大活躍します。
たとえば、
I don't smoke, nor do I drink.
(私はタバコを吸わないし、お酒も飲みません)のように、
否定の文を 2 つ、きれいにつなぐ
ことができます。
また、
neither A nor B を使えば、
「A も B も〜ない」をひとまとめ にできて、とてもスッキリした言い方になります。
まずは、2-1・2-2 でくわしく見る予定の nor の代表的な形を、ミニ例でチラ見してみましょう。
I have not read the book, nor do I want to.
(私はその本を読んでいませんし、読みたいとも思っていません。)
not(〜ない)で 1 回目の否定、
nor で 2 回目の否定をつなげています。
nor do I want to の部分は「倒置」が起きていて、
「nor + 助動詞 + 主語」
という語順になるのが特徴です(この詳細は 2-1 でやさしく整理します)。
Neither my brother nor my sister likes coffee.
(私の兄も姉もコーヒーが好きではありません。)
Neither A nor B は「A も B も〜ない」という意味で、
主語として 1 つのかたまり
として扱われます。
そのため、
likes のように
動詞が「3人称単数」になる
場合がある点も、2-2 でゆっくり確認していきます。
🧭 次はどちらから読む? 2-1 / 2-2 へのナビゲーション
2-1 と 2-2 は、 どちらから読んでも OK です。 「否定文どうしをつなぐ感覚」から入りたい人は 2-1、 「Neither A nor B をしっかりマスターしたい」という人は 2-2 から進んでみましょう。
文法は「完璧に理解してから次へ進む」よりも、 「だいたい分かった状態で少し先の例文にふれてみる」 方が、記憶に残りやすく学習も続きやすいと言われています。 ここまで読めたあなたは、もう準備はバッチリです。 このあと 2-1 / 2-2 のどちらか気になる方から読み進めて、またこのセクションに戻ってくる── そんな 行ったり来たりスタイル で、nor の感覚を少しずつ自分のものにしていきましょう。
2-1. 否定語 + A + nor + B:「A でないし、B でもない」
このセクションでは、
not / never / no などの
否定語
といっしょに使う
nor を学びます。
たとえば、
I do not eat meat, nor do I eat fish. のように、
「A でないし、B でもない」という 2 つの否定 を 1 本の線でつなぐ役割を持っています。
ここではまず、
否定語 + A + nor + B
という骨組みと、「ダブル ×」のイメージをざっくりつかむことが目標です。
途中で 倒置(とうち) という文法用語も出てきますが、 倒置とは 「助動詞や be 動詞が主語の前に出てくる、ふだんと逆の語順」 のことです。 むずかしく見えても、 パターンとして見ればこわくない ので、 小学生にも分かるレベルの補足といっしょにゆっくり確認していきます。
等位接続詞 nor 否定文どうしをつなぐ表現 Lesson 104 / Section 2-1
🧠
コアイメージ:A にも ×、B にも × をつけて、nor でつなぐ
イメージとしては、
A にも ×
をつけて、
B にも ×
をつけて、
その 2 つの × を
nor
という橋でつなぐ感じです。
日本語で言う
「A ではないし、B でもない」「A も B も〜しない」を、英語では
否定語 + A + nor + B
という形でまとめて表せます。
I do not watch TV, nor do I play video games.
(私はテレビを見ませんし、テレビゲームもしません。)
nor は「and not」に近いイメージで、
前の否定を引きついで「〜でもない」と続ける 役目があります。形:
I do not V A, nor do I V B. のように、
後半の
nor do I の部分では
do が主語の前に出る=倒置
が起きています。
「助動詞(do)が前、主語(I)が後ろ」と覚えておけば十分です。
ここまでのイメージがつかめていれば、 nor は「二つ目の × をつなぐ橋」 だと思ってOKです。 このあと、よく出るパターンを 3 タイプに分けて、さらに整理していきましょう。
🔎
よく出る 3 つの型:否定語 + A + nor + B パターン一覧
nor を使うときは、だいたい次の 3 パターンのどれかに当てはまります。
まずは
「どんな部品どうしをつないでいるか」
に注目して、ざっくり眺めてみましょう。
| カテゴリ | パターン(型) | 意味イメージ | ポイントメモ |
|---|---|---|---|
|
パターン 1
文と文(clause + clause)
|
S + 助動詞 + not + V ...,nor
助動詞 + S + V ...
|
「S は A しないし、S は B もしない。」 否定文のあとに、 別の否定文 をつなげる型。 後半は 倒置(nor + 助動詞 + 主語) になるのが大きな特徴です。 |
使いどころ: フォーマルな文章や、きちんとした説明文でよく使われます。
注意:
and の代わりに
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パターン 2
動詞どうし(同じ主語)
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S + does not + V
A
nor
V B
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「S は A もしないし、B もしない。」 主語と助動詞は 1 回でまとめ、 動詞だけを nor でつなぐ コンパクトな型です。 |
使いどころ: 会話でも書き言葉でも、「〜もしないし、〜もしない」と 同じ人の行動を 2 つ並べたいとき に便利。
比較:
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パターン 3
名詞どうし(もの・人)
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S has
no
A
nor
B
|
「S は A も B も持っていない。」no A nor B のように、
名詞(もの・人)どうし
をつなぐ型です。
|
使いどころ: 所有・資格・選択肢などを列挙して、 「どれもない」と強調したいときに使われます。
注意:
会話では
|
まずは、 文どうしをつなぐ、 動作どうしをつなぐ、 名詞どうしをつなぐ の 3 パターンがある、とざっくり分かれていれば十分です。 次のカードで、とくにつまずきやすい 文頭 Nor の倒置 を、ビフォー・アフターで見ていきましょう。
🔁
倒置パズル:ふつうの否定文 → Nor で始まる文へ
文頭に
Nor
が来ると、
「語順がひっくり返る=倒置(inversion)」
が起こります。
ここでは、よくあるパターンを
ビフォー・アフター
で見て、
「あ、こう変わるだけなんだ」と安心してもらうことが目的です。
- まず、ふつうの否定文を 2 つ並べる。
-
2 つ目の文の否定を
norに引きついで、「and + 否定文」を「nor + 倒置」に変える。 -
助動詞や
beが主語の前に出るだけなので、 語順の入れ替えパズル として見てしまえば OK です。
I do not like coffee, and I do not like tea.
(私はコーヒーが好きではありませんし、紅茶も好きではありません。)
and
でつないだだけの形です。
否定が 2 回くり返されていて、
少しクドい言い方
にも感じられます。
I do not like coffee, nor do I like tea.
(私はコーヒーが好きではありませんし、紅茶も好きではありません。)
書き換えのステップ:
-
2 つ目の
I do not like tea.を取り出して、andをnorに変える。 -
norのあとは、 助動詞のdoを先頭に移動 して、nor do I like teaにする(これが倒置)。
つまり、
「nor + 助動詞 + 主語 + 動詞」
という並びに変えるだけのパズルです。
「助動詞(do / will / can など)と
be
動詞は、nor のすぐ後ろにジャンプする」と覚えるとラクになります。
倒置という言葉だけ聞くとむずかしそうですが、実は
「nor のあとでは、助動詞や be が主語の前に来る」
という 1 ルールを知っていればほとんど困りません。
ここまで読めたあなたは、もう準備はバッチリです。
このあとの例文セクションでは、実際の会話や文で
否定語 + A + nor + B
がどう使われるかをたくさん見て、さらに感覚を固めていきましょう。
例文で確認:否定語 + A + nor + B
She does not smoke, nor does she drink.
(彼女はたばこを吸わないし、お酒も飲みません。)
語注: smoke = たばこを吸う、drink = お酒を飲む。
型: S do not V A, nor do S V B. の形で、同じ主語の 2 つの動作を「どちらもしない」とまとめています。
使い分け: and を使うよりも、nor を使うと「どちらも〜しない」という否定のまとまりがはっきりします。
He never travels by plane, nor by train.
(彼は飛行機でも電車でも旅行しません。)
語注: travel = 旅行する、by plane / by train = 飛行機で / 電車で。
型: S never V by A, nor by B. のように、前半の動詞を省略して nor の後ろに前置詞句だけを置く省略形です。
レジスター: やや書き言葉寄りの言い方ですが、説明文やエッセイなどでよく使われます。
I do not enjoy crowded parties, nor do I enjoy loud bars.
(私は人がぎゅうぎゅうのパーティーも、うるさいバーも好きではありません。)
語注: crowded = ぎゅうぎゅうに混んだ、enjoy = 楽しむ、loud = 音が大きい。
型: I do not V A, nor do I V B. で、nor do I の部分が倒置(助動詞 do が前に出る形)になっています。
使い分け: 会話では and I don't enjoy loud bars either. でも言えますが、nor do I の方が少しかしこまった響きになります。
I have never visited Spain, nor have I visited Portugal.
(私はスペインにもポルトガルにも行ったことがありません。)
語注: have visited = 行ったことがある(現在完了の経験)、never = 一度も〜ない。
型: I have never V A, nor have I V B. と、完了形の助動詞 have が nor の直後に前に出ています。
よくある誤り: *nor I have visited のように主語を先に置かないよう注意しましょう。必ず nor + have + I の語順になります。
He cannot play the piano, nor can he read music.
(彼はピアノが弾けないし、楽譜も読めません。)
語注: read music = 楽譜を読む、can = 〜できる。
型: He cannot V A, nor can he V B. のように、助動詞 can が nor の直後に出る倒置になっています。
使い分け: and he cannot read music でも意味は通じますが、nor can he を使うと「どちらもできない」という対比が強くなります。
The report was not finished on time, nor was it checked carefully.
(その報告書は期限どおりに仕上がらず、ていねいに確認もされませんでした。)
語注: be finished = 終えられる、checked = チェックされる(どちらも受動態)、on time = 時間どおりに。
型: was not Vpp ..., nor was it Vpp ... と、受動態どうしを nor でつないでいます。
レジスター: ビジネスメールや報告書での問題点の指摘に使いやすい表現です。
Our data was not lost, nor was it shared with anyone else.
(私たちのデータは失われておらず、他の誰かと共有されることもありませんでした。)
語注: data = データ、was shared with A = A と共有された。
型: 否定の受動文 was not lost に続けて、nor was it shared ... と 2 つ目の受動文をつなげています。
使い分け: 情報漏えいが無かったことを説明するときなど、「〜されなかったし、〜されもしなかった」と二重に安心材料を示す表現に使えます。
Do you not read the manual, nor follow the safety rules?
(あなたはマニュアルも読まず、安全ルールも守っていないのですか。)
語注: manual = 取扱説明書、safety rules = 安全ルール。
型: Do you not V A, nor V B? の形で、助動詞 do と主語 you は 1 回だけ出し、動詞だけを nor で並べています。
注意: 強めの問いかけになるので、現場では言い方や相手との関係に注意して使います。
Did they not send the invitation, nor call you about the meeting?
(彼らは招待状も送らず、その会議について電話もしてこなかったのですか。)
語注: invitation = 招待状、about the meeting = その会議について。
型: Did they not V A, nor V B? と過去形の疑問文に nor を組み合わせています。
使い分け: 驚きや不満を込めて「どちらの行動もしていないのか」と確認したいときに使える表現です。
Do you not trust me, nor believe that I care about you?
(あなたは私を信じていないし、私があなたを大事に思っているとも信じていないのですか。)
語注: trust = 信じる、care about you = あなたのことを大切に思う。
型: Do you not V A, nor V B? で、心の状態(trust / believe)を 2 つ並べてたずねています。
レジスター: 恋愛や人間関係の場面で、気持ちをまっすぐ確認したいときに使えるフレーズです。
Do not hide your feelings, nor assume I do not feel the same.
(自分の気持ちを隠さないで、それに私も同じ気持ちではないと決めつけないでください。)
語注: hide your feelings = 気持ちを隠す、assume = 決めつける、feel the same = 同じように感じる。
型: Do not V A, nor V B. の命令文で、「これもするな、あれもするな」と 2 つの禁止を並べています。
使い分け: やさしく伝えたいときは、前に Please を付けて柔らかくする言い方もよく使われます。
Do not change these settings, nor install any software without permission.
(この設定を変更しないで、許可なくソフトウェアをインストールしないでください。)
語注: settings = 設定、install = インストールする、permission = 許可。
型: Do not V A, nor V B. と 2 つの禁止事項を 1 文でまとめています。
よくある誤り: *Do not change these settings, and nor install ... と and を足さないよう注意しましょう。nor だけで十分です。
He did not apologize, nor did he try to explain why he was late.
(彼は謝りもせず、なぜ遅れたのか説明しようともしませんでした。)
語注: apologize = 謝る、explain why ... = なぜ〜なのか説明する。
型: He did not V A, nor did he V B. と、過去の助動詞 did が nor の直後に来る倒置です。
構文メモ: why he was late は「なぜ遅れたか」という内容をあらわす名詞節で、explain の目的語になっています。
He is not studying tonight, nor is he working on his project; he is just resting.
(彼は今夜は勉強もしていないし、プロジェクトの作業もしていません。ただ休んでいるだけです。)
語注: be studying = 勉強しているところだ、work on his project = プロジェクトに取り組む、rest = 休む。
型: He is not V-ing A, nor is he V-ing B. と、進行形どうしを nor でつなぐパターンです。
使い分け: 「何もしていない」という状況を、A にも B にも当てはまらないことを示しながら説明したいときに便利です。
🧩 つまずき比較カード:or / neither A nor B / not ... either をざっくり整理
「A でないし、B でもない」を言いたいとき、
or・neither A nor B・not ... either がごちゃごちゃになりがちです。
下の表では
型・意味・よくある場面
を横ならびでざっくり比較しています。スマホでは左右にスワイプして見てください。
| タイプ | 表現 | 基本の型 | 意味イメージ | ニュアンス / よくある使い方 |
|---|---|---|---|---|
|
or
A か B
|
A or B
否定文の中では
not A or B
と書くと
「A もしないし B もしない」の意味になることもありますが、あいまいになるので注意。
|
Would you like coffee
or
tea?(肯定の A or B) |
どちらか 1 つをえらぶイメージ。 否定文の中で使うと意味が ぶれやすい ので、 nor や neither と整理して使い分けると安全です。
|
✅ おすすめ:
⚠️ 注意: |
|
neither A nor B
どちらも〜ない
|
Neither A nor B
主語において
A も B も〜ない
を一気に言える便利な形。
neither は「どちらも〜ない」という意味の
否定のことば です。
|
Neither Tom nor Mary likes coffee.(トムもメアリーもコーヒーが好きではない。) |
主語が 1 つのまとまりとして単数扱い になるのがポイント。 「A も B も〜ない」を きれいな 1 文で言いたい ときにぴったりです。 |
🌟 フォーマル〜標準:
✅ ここがカギ: |
|
not ... either
〜もまた〜ない
|
S do not ... either
either は「どちらか」ですが、否定文では
「〜もまた〜ない」
という意味になります。
|
I do not like coffee, and I do not like tea either.(私はコーヒーが好きではなく、紅茶も好きではありません。) |
会話で一番よく使う「〜も〜ない」 の言い方。 最初の否定文に続けて、 2 文目の最後にそっと足す のが基本です。 |
💬 会話で定番:
🔁 関係: |
ざっくりまとめると、 or は「A か B」、 neither A nor B は「どちらも〜ない」、 not ... either は「〜もまた〜ない」です。 ここから先の 2-2 では、とくに neither A nor B を中心に、「主語としてのふるまい」や「動詞との相性」をじっくり見ていきます。
✅ ミニまとめ:2-1 のポイントをサッとおさらい
- 否定語 + A + nor + B は、「A でないし、B でもない」という ダブル否定 を 1 文にまとめるための形。
-
norのあとは 助動詞や be 動詞が主語の前に出る(倒置) というルールがあるけれど、パターンで覚えれば怖くありません。 - 「どちらも〜ない」を言うときは、 neither A nor B や not ... either との使い分けを意識すると、 文がグッと自然で読みやすく なります。
次の 2-2 では、
neither A nor B:A も B も〜ない
を主役にして、主語が単数扱いになる理由 や、
会話での自然な使い方 をくわしく見ていきます。
2-1 で学んだ
nor
の感覚が、そのまま 2-2 の理解にもつながっていくので、
今のうちに「ダブル否定のイメージ」をしっかり持っておきましょう。
文法は「完璧に理解してから進む」より、 だいたいイメージがつかめたら次に進む 方が、何度も出会ううちに自然と身についていきます。 ここまで読み切ったあなたは、 すでに nor の世界への土台づくりはバッチリ です。 この勢いで 2-2 の neither A nor B に進んで、「どちらも〜ない」をもっとスッキリ言える自分になっていきましょう。
2-2. neither A nor B:「A も B も〜ない」を一気に言う
このセクションでは、
neither A nor B を使って
「A も B も〜ない」
とまとめて否定する表現を学びます。
イメージとしては
not A and not B
(A も B も〜ない)を
1 つのまとまりにギュッとした形 です。
とくに、neither A nor B が
主語(文の主人公) に来るときは、
動詞がふつう単数形になる
というルールがポイントです。
単数形(1人分の形)というのは、
「2人まとめて 1 グループ」と見るイメージだと思っておきましょう。
途中で 主語・補語・目的語 のような文法用語も出てきますが、 そのつど (小学生にもわかる短い言いかえ) をそえていきます。 ここでは細かい暗記よりも、 「2 つをまとめて × にするラベル」 というコアイメージをつかむことを目標にしましょう。
nor の用法 × 否定セット表現 まとめて否定のコアイメージ Lesson 104 / Section 2-2
A と B を 1 つのグループにまとめて「どちらも ×」とする
neither A nor B のイメージ図
🧊 コアイメージ:neither A nor B は「2 人をまとめて × にするラベル」
neither は
「どちらも〜ない」
という意味を持つことばです。
neither A nor B という形にすると、
A と B を 1 つのかたまりにして、まとめて × をつける
感じになります。
✅ ポイント 1:意味は「not A and not B」に近い
数学っぽくイメージすると、
neither A nor B は
not A and not B
とほぼ同じ意味です。つまり、
A にも B にもチェックがつかない
状態です。
-
either A or B: どちらか 1 つは ○(少なくとも 1 つは OK) -
neither A nor B: どちらも ×(1 つも OK じゃない)
✅ ポイント 2:主語に来ると「グループ 1 つ」と見なされる
neither A nor B が
主語(文の主人公)
になるときは、
A と B を「1 つのグループ」と見ます。
そのため動詞はふつう
単数形(is / was / likes など)
になります。
ここでは細かい例文よりも、 「2 人をまとめて 1 チームとして数える」 という感覚をつかんでおけば十分です。 具体的な文の形は、このあと表とカードでくわしく見ていきましょう。
📊 典型パターンミニ表:neither A nor B の 3 つの使い方
neither A nor B は、
置く場所によって役割が少し変わる
ことがあります。
ここでは、
主語・目的語・補語
の 3 パターンをざっくり整理しておきましょう。
スマホでは左右にスワイプして見ることができます。
| タイプ | 基本の型 | イメージ・役割 | コメント(小学生向けの言いかえ) |
|---|---|---|---|
|
主語パターン
文の主人公が「どちらも〜ない」
|
Neither A nor B is ...
A も B も〜ではない。
|
A と B をまとめて 1 チームにして、 「このチームは〜じゃない」と言うイメージ。 2 人いるけれど、主語としては 1 グループ なので動詞はふつう単数形。 | 「兄も妹も家にいない」「先生も生徒も来ていない」など、 2 人セットで話したいときの主語専用ラベル だと思うとイメージしやすいです。 |
|
目的語パターン
「〜を」の場所でどちらも×
|
S V neither A nor B.
主語 S は、A も B も〜しない/〜がない。
|
動詞(する)や持つものの 対象(目的語) として、「A も B もそうではない」と言う形。 主語はふつうどおりなので、動詞は主語に合わせれば OK。 | 「どちらも欲しくない」「どちらも見ていない」など、 自分の気持ちや行動の対象 を 2 つまとめて × にしたいときのパターンです。 |
|
補語パターン
「〜は A でも B でもない」
|
S be neither A nor B.
S は A でも B でもない。
|
「〜は A じゃないし B でもない」 と説明するときに使う形。 be 動詞(is / am / are など)のあとに続けて、 性質や立場 を 2 つまとめて否定します。 | 「彼は先生でも生徒でもないよ」のように、 身分・タイプ・役割 を 2 つ列挙して「どちらにも当てはまらない」と伝えるときに便利です。 |
この 3 パターンを頭のすみに置いておくと、 あとの例文を読んだときに 「あ、これは主語のパターンだな」 とすぐ気づけるようになります。 いまの段階では、細かい文法用語よりも 「主語・目的語・補語のどこに置くかで役割が少し変わる」 というざっくり感覚をつかんでおけば十分です。
🧱 用法ごとのパターン解説:3 つのブロックでイメージを固めよう
ここからは、さきほどの 3 タイプを カード形式でじっくり眺めるコーナー です。 例文そのものは次の「例文セクション」でまとめて扱うので、 ここでは 「どこに置くか」「何をまとめて否定しているか」 に注目して読んでみてください。
①
主語としての neither A nor B
文のいちばん前の、
主語(文の主人公)
の場所に
neither A nor B
を置くパターンです。
ここでは A と B を
「1 つのチーム」
として見なすので、
動詞はふつう
単数形
になります。
-
型:
Neither A nor B is / was ... - 例イメージ: 「兄も妹も家にいない」「先生も生徒も会議に参加していない」など
- メモ: 「2 人いるのに is?」と感じるのは自然です。 「2 人まとめて 1 バスケット」 と考えると理解しやすくなります。
② 動詞のあとで「どちらも欲しくない」
動詞のあと、
「〜を」「〜に」
といった場所(目的語)に
neither A nor B
を置くパターンです。
このとき主語はふつう I / we / they などなので、
動詞の形は主語に合わせれば OK です。
-
型:
S V neither A nor B - 例イメージ: 「コーヒーも紅茶もいりません」「A 案も B 案も採用しません」など
-
メモ:
会話では
I don't want coffee or tea.でも通じますが、neither A nor Bのほうが 「どちらも ×」をハッキリ伝えられる 言い方です。
③ be 動詞のあとで「A でも B でもない」
is / am / are
などの
be 動詞のあと
に置いて、
「〜は A でもないし B でもない」
と言うパターンです。
ここでは、
人や物のタイプ・役割・状態
を 2 つ挙げて「どちらにも当てはまらない」と説明します。
-
型:
S be neither A nor B - 例イメージ: 「彼は先生でも学生でもない」「この部屋はオフィスでも会議室でもない」など
- メモ: 「〜でもないし〜でもない」と ゆっくり説明したいときの型 です。 文章やスピーチで使うと、意味がとてもクリアになります。
neither A nor B
の骨組みはバッチリです。
このあと用意する例文セクションやクイズで、
少しずつ「見て分かる」から「自分でも言える」状態にしていきましょう。
neither A nor B:A も B も〜ない(代表例)
Neither Tom nor Lisa is available today.
(トムもリサも、今日は都合がつきません。)
語注: available = 都合がつく、対応できる。today = 今日。
型: Neither A nor B + 単数動詞(A も B も〜でない)という主語パターンです。
使い分け: 「Tom and Lisa are not available.」でも意味は近いですが、Neither Tom nor Lisa の方が「どちらもダメ」を一気にまとめて言えます。
Has neither my brother nor my sister finished the report yet?
(兄も妹も、まだレポートを終えていないのですか。)
語注: finished = 終えた、終わらせた。yet = もう、まだ(疑問・否定でよく使う)。
型: Has + neither A nor B + 過去分詞 ... ? で「A も B もまだ〜していないの?」とたずねる形です。
よくある誤り: 「*Has not my brother or my sister finished ... ?」のように not ... or ... で書くと、ネイティブにはあいまいに聞こえます。はっきり 2 人ともダメと言いたいときは neither ... nor ... を使う方が安全です。
We chose neither plan A nor plan B in the end.
(最終的に、A 案も B 案もどちらも選びませんでした。)
語注: chose = choose(選ぶ)の過去形。in the end = 結局は、最終的には。
型: S V neither A nor B で「S は A も B も〜しなかった / 選ばなかった」という意味になります。
使い分け: 「We did not choose plan A or plan B.」でも通じますが、neither A nor B を使うと「2 つとも不採用です」ととてもクリアに伝えられます。
This restaurant is neither cheap nor quiet.
(このレストランは安くもないし、静かでもありません。)
語注: cheap = 安い。quiet = 静かな。
型: S be neither A nor B で「S は A でも B でもない」という説明の形になります。
コロケーション: neither cheap nor expensive(安くも高くもない)など、反対の意味を並べてニュアンスを伝えることもよくあります。
Neither of them was happy with the result.
(二人とも、その結果には満足していませんでした。)
語注: neither of them = 彼ら(彼女ら)二人のうち、どちらも〜ない。result = 結果。
型: Neither of + 複数名詞 / 代名詞 + 単数動詞 で「〜のどちらも〜ない」を表します。
使い分け: 「Both of them were not happy.」と比べて、Neither of them was ... の方が「二人とも不満だ」とストレートに伝わります。
Neither of us is thinking about quitting right now.
(今のところ、私たちのどちらも仕事を辞めることは考えていません。)
語注: quitting = 辞めること。right now = 今のところ、まさに今。
型: Neither of us is + V-ing で「私たちのどちらも今〜していない」という進行形の否定になります。
バリエーション: 「Neither of us is planning to move abroad.」(私たちのどちらも海外へ引っ越すつもりはない)など、planning のような「考え中」を表す動詞とも相性がよいです。
I did not choose plan A, and I did not choose plan B either.
(A 案は選ばなかったし、B 案も選びませんでした。)
語注: either = 「〜もまた〜ない」の「〜も」。「not ... either」で「〜も〜ない」という意味になります。
型: S did not V A, and S did not V B either. で「A もしないし B もしない」と 2 文で言う形です。
使い分け: この 2 文構成を 1 文にまとめたのが neither A nor B です。どちらも大事な表現で、文のリズムや強調したい部分によって使い分けます。
Neither you nor I am ready to give up on this love.
(君も僕も、この恋をあきらめる準備なんてできていないよ。)
語注: be ready to ... = 〜する覚悟ができている。give up on this love = この恋をあきらめる。
型: Neither you nor I am ... のように、neither ... nor ... のあとに I が来る場合、動詞は am を使う書き方もよくあります。
レジスター: 少しドラマチックで感情的な言い方なので、恋愛の告白や映画・ドラマのセリフのような場面によく合います。
Does this mean that neither plan A nor plan B will be approved?
(これは、A 案も B 案も承認されないという意味ですか。)
語注: mean = 意味する。be approved = 承認される(受動態)。
型: Does this mean that neither A nor B will be Vpp? で「これは A も B も〜されないという意味ですか」と確認する質問になります。
接続: that 以下が「〜ということ」を表す節(文のかたまり)になっており、その中で neither ... nor ... が主語として働いています。
Is neither of them coming to the party tonight?
(今夜のパーティーには、二人とも来ないのですか。)
語注: coming to the party = パーティーに来る。tonight = 今夜。
型: Is neither of them V-ing ... ? で「二人とも〜しないの?」という少しかしこまった聞き方になります。
レジスター: 会話では「Aren't they coming to the party?」のような言い方の方が自然ですが、neither of them を使うと「二人とも」を強調できます。
Choose neither answer A nor answer B until you read the instructions carefully.
(説明をよく読むまでは、A も B もどちらの答えも選ばないでください。)
語注: instructions = 説明書き。carefully = 注意深く。
型: Choose neither A nor B で「A も B も選ぶな」という命令文になります。
よくある誤り: 「*Do not choose A or B.」だと、場合によって「A か B を選ぶな」か「どちらも選ぶな」かがあいまいになりがちです。テストの注意書きなどでは、neither A nor B を使う方が安全です。
Neither the report nor the slides were sent to the client.
(レポートもスライドも、どちらもクライアントには送られていませんでした。)
語注: slides = スライド資料。client = 顧客、クライアント。
型: Neither A nor B were sent ... で「A も B も送られなかった」という受動文になります。
注意: report は単数、slides は複数なので、動詞 were を使う書き方もよくあります。学校文法では単数扱いの説明が中心ですが、実際の英語ではこのように「近い名詞」にあわせて変化させることもあります。
The invitation was addressed to neither Tom nor Lisa.
(招待状は、トムにもリサにも宛てられていませんでした。)
語注: invitation = 招待状。addressed to ... = 〜宛てに出された。
型: S be Vpp to neither A nor B で「S は A にも B にも〜されていない」という受動パターンです。
使い分け: 「It was not addressed to Tom or Lisa.」よりも、neither Tom nor Lisa を使った方が「二人とも対象外」をハッキリ表現できます。
Neither of the options that you suggested seems realistic.
(あなたが提案してくれた選択肢は、どちらも現実的には思えません。)
語注: option = 選択肢。realistic = 現実的な。suggest = 提案する。
型: Neither of the A that S V ... seems ... と関係節(that you suggested の部分)をはさむことで、「あなたが提案した A というグループの中で、どちらも〜ない」と詳しく説明できます。
レジスター: ビジネスメールやレポートなど、少しかしこまった場面でよく使われる言い方です。「ちょっと厳しめのフィードバック」を丁寧に伝えたいときに便利です。
⚠️ つまずきポイント比較:not A or B / not A nor B / not ... either
「A も B も〜ない」を言いたいとき、not を使った表現がいくつかあります。
ざっくり言うと、テストで安心なのは neither A nor B、
会話でよく聞くのは not A or B や not ... either です。
ここでは「よくあるつまずきポイント」を一気に見比べておきましょう。
| パターン | 例文(A / B をコーヒーと紅茶にして比較) | 意味(ざっくり) | ニュアンス・注意点 |
|---|---|---|---|
会話でよく見るnot A or B
|
I don't want coffee or tea.(コーヒーも紅茶もいりません。) |
多くの場面では 「A も B もいらない」 という意味で理解される。 |
|
やや古め・書き言葉寄りnot A nor B
|
I do not want coffee nor tea.(コーヒーも紅茶もいりません。) |
意味としては 「A も B もいらない」 と理解される。 |
|
2 文でコツコツ否定not ... either
|
I don't want coffee, and I don't want tea either.(コーヒーはいらないし、紅茶もいりません。) |
A と B を 「1 文ずつ否定していく」 言い方。 |
|
not A or B や not ... either を「おまけモード」で覚えると、
自然な英会話にも強くなれます。
✅ ミニまとめ:neither / not の仲間関係をざっくり整理
-
メイン武器
neither A nor Bは 「A も B も〜ない」を一気に言える基本フォーム。 テストでも会話でも、まずはここをしっかり使えるようにするのがゴールです。 -
サブ武器
not A or Bはラフな会話でよく出てきますが、 書き言葉や試験では意味があいまいにならないよう注意しましょう。 -
2 文型
not ... eitherを使うと、 「A も好きじゃないし、B も好きじゃない」と 気持ちを順番に説明するスタイルが作れます。 -
おまけ
not A nor Bは少し古風・フォーマル寄り。 「読んで意味が分かれば十分」で、無理に自分から使う必要はありません。
否定のパターンは、最初はどれも同じように見えてこんがらがりやすいですが、 「テストで使うのはどれ?」「会話でよく聞くのはどれ?」 と役割を分けて覚えると、頭の中が一気にスッキリします。
ここまで読み切れたあなたは、 neither / nor の世界地図 をほぼ描けている状態です。この調子で、次のセクションでは実際の例文やクイズで 「手を動かしながら」定着させていきましょう。迷っても大丈夫、 一度整理できた型は、何度でも思い出せるようになります✨
まとめ:or / nor の使い分け(全体のおさらい)
このレッスンでは、等位接続詞(同じレベルの語句どうしをつなぐことば)
or と nor を学んできました。
or は
「えらぶ」「言い換える」「さもないと〜」
という 3 つの顔を持ち、
nor / neither A nor B は
「A でもないし B でもない」
というダブル否定(2つまとめて否定する文)を作る役割がありました。
ここでは、細かいルールに入り込む前に、
「どんな場面でどのパターンを選べばいいか」を
もう一度シンプルに整理しておきましょう。
文法用語が少しむずかしく感じたら、 (たとえば「否定文=〜ではない文」「言い換え=別の言い方でもう一度説明すること」) のように、自分なりのかんたんな日本語に言い換えて OK です。 そうやって「自分のことば」にしていくほど、記憶は長持ちします。
ここまで読み進めてきたあなたは、 or / nor の世界地図をもう頭の中に描き始めています。 ここまで読めたあなたは、もう準備はバッチリです。 あとは、例文やクイズで少しずつ手を動かして、 「見て分かる」を「パッと言える」に変えていきましょう。
等位接続詞 or / nor の総まとめ Lesson 104 / Summary🧭 or / nor の全体マップ:どんなときにどれを使う?
or は「えらぶ」「言い換える」「さもないと〜」を表し、
nor / neither A nor B は「A でもないし B でもない」を表す、
というのが大きな流れでした。
下の図とカラーボックスで、
or は「分かれ道」、
nor は「ダブルで消す消しゴム」
というイメージをつかんでおきましょう。
🔀
or:分かれ道を作る接続詞
or は、二つ以上の選択肢や言い方の
「分かれ道」
を作る役目です。
「A か B」「すなわち B」「さもないと B」のように、
「次はこっちだよ」と道案内をしてくれるイメージです。
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1-1
選択
A or B: メニューや質問などで「どっちにする?」と選んでもらう表現。 -
1-2
言い換え
A, or B: B で「つまりこういうことだよ」と説明し直す表現。 -
1-3
警告
命令文, or (else) 〜: 「〜しなさい、さもないと…」と結果を予告する注意文。
🧹
nor:2 つまとめて消す「ダブル否定」係
nor は、
「A でもないし B でもない」
と、2 つをまとめて「ナシ」にする役目です。
すでに否定語(not など)がある文といっしょに使ったり、
neither A nor B という決まった形で使ったりします。
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2-1
否定語 + A + nor + B
not A, nor B: 「A でないし、B でもない」と 2 つ続けて否定。 -
2-2
neither A nor B
neither A nor B: 「A も B も〜ない」を一気に言える、テストでも安心の基本パターン。
まずはこの「or = 分かれ道」「nor = ダブル否定」というざっくりイメージさえ持てれば十分です。 くわしい文型や例文は、それぞれのセクション (1-1「または / あるいは」〜 2-2「neither A nor B」)で、 少しずつゆっくり深掘りしていきましょう。
📚 次におすすめのレッスン
このレッスンで or / nor の世界をひと通り見てきました。
ここから先は、ほかの接続詞たちとのつながりを押さえることで、
会話と英文読解の両方がぐっと読みやすくなります。
気になるところから、ゲーム感覚で進んでみてください。
レッスンを全部きれいに順番どおりにやらなくても大丈夫です。 「今ちょっと気になるテーマ」から選んで進む方が、 脳が「これは大事だ」と判断して、記憶に残りやすくなると言われています。
このページをここまで読み切れたあなたなら、 もうどのレッスンに進んでも十分ついていけます。 今日の自分にしっくりくるレッスンから、気軽に一歩進んでみてください。